転職に失敗したかも…と感じたら|続ける・休む・相談する前にできること(後編)
転職したばかりなのに、思っていた仕事と違うと感じたり、毎日がつらく感じたりすると、頭の中は不安でいっぱいになってしまうものです。このまま働き続けるべきなのか、それとも退職した方がいいのか。答えを急いで出したくなることもあるでしょう。
前編では、転職後の違和感について、人間関係や仕事内容、働き方など、どこに違和感を感じているのかを整理する方法をご紹介しました。後編では、その違和感をもとに、次にどのような行動を選べばよいのかを考えていきます。すぐに結論を出そうとするのではなく、今起きていることを一つずつ整理していくことで、自分に合った選択肢が見えやすくなることがあります。まずは、自分の気持ちや状況を整理するところから始めてみましょう。
まずは「失敗」ではなく、出来事・考え・気分を分ける
転職後に強い不安を感じているときは、転職に失敗した、という一つの言葉で、今の状況をまとめてしまいがちです。しかし、その中には実際に起きた出来事と、それをどう受け止めたかという考え、そして不安や落ち込みといった気持ちが重なっています。
例えば、
- 入社して1週間で一人で仕事を任された
- 自分は期待に応えられていないと思った
- 不安になり、自信をなくした
この3つは、それぞれ別のものです。実際に起きた出来事は変えられなくても、その出来事をどう受け止めているのかを整理することで、問題の見え方が少し変わることがあります。
まずは、
- 何があったのか
- そのとき何を考えたのか
- どんな気持ちになったのか
この3つに分けて書き出してみましょう。
長く書く必要はありません。紙でも携帯のメモでも構いませんので、一つの出来事だけを取り上げて整理してみることが大切です。気持ちを否定したり、無理に前向きに考えたりする必要はありません。今の自分がどう感じているのかを、そのまま書き出してみるだけでも、頭の中が少し整理されることがあります。
気分・出来事の記録を3分だけつける
記録というと、毎日日記を書かなければいけないように感じるかもしれません。ですが、ここで大切なのは続けやすいことです。例えば、その日の中で一番気になった場面を一つだけ選び、
- いつ、どこで、何があったか
- そのとき浮かんだ考え
- 気持ちの強さ(0〜10など)
- その日の体調
を3分ほどで書き留めてみましょう。毎日完璧に続ける必要はありません。短い記録でも続けることで、自分がどのような場面で負担を感じやすいのかが見えやすくなります。また、後から上司や家族、あるいは専門家へ相談するときにも、状況を伝える手がかりになることがあります。
出来事と受け止めを分けて考えるヒント
→ 認知行動療法とは?考え・気分・行動の関係をわかりやすく解説(前編)
今の結論を否定したり、前向きに考え直したりする必要はありません。出来事・考え・気分の関係をもう少し知りたい場合は、認知行動療法の基本的な考え方も整理の参考になります。
仕事内容・責任・期待との差を確認材料にする
転職後のつらさを感じると、自分に向いていなかったのではないか、自分の能力が足りないのではないかと考えてしまうことがあります。もちろん、自分自身を振り返ることも大切ですが、つらさの原因はそれだけとは限りません。
例えば、
- 入社前に聞いていた仕事内容と実際の業務が違っていた
- 思っていたよりも責任の重い仕事を任されている
- 十分な引き継ぎや教育がないまま業務を進めている
- どこまでできればよいのかが分からない
このような状況であれば、誰でも戸惑いや不安を感じやすくなります。そのため、今感じている負担を「自分の問題」と決めつける前に、仕事そのものについて整理してみることも大切です。求人票や面接で聞いた内容と現在の仕事内容を見比べてみたり、どの場面で負担を感じているのかを書き出してみたりすると、確認できることが見えてくる場合があります。状況を整理してみると、自分一人で抱え込む問題なのか、それとも職場へ確認や相談が必要なことなのかが少しずつ分かってきます。
上司や人事に確認したいことをメモにする
仕事について相談するときは、不安な気持ちをそのまま伝えるだけでは、うまく言葉にならないことがあります。そのため、事前に確認したいことを短くメモしておくと、落ち着いて話しやすくなります。
例えば、
- 現在の業務の優先順位
- 自分に求められている役割
- 分からないときは誰に相談すればよいか
- 教育や引き継ぎの予定
- 評価されるポイント
などを書き出しておくと、相談の目的が明確になります。また、「仕事がつらい」と伝えるよりも、「この業務の優先順位を確認したいです」「ここまでが私の担当という認識で合っていますか」といった形で具体的に確認する方が、お互いに状況を共有しやすくなることがあります。
もちろん、すべての職場で希望どおりに改善できるとは限りません。それでも、自分が何に困っていて、何を確認したいのかが整理できるだけでも、次の行動を考えやすくなるでしょう。
自分でできることと、相談した方がよいことを分ける
転職後の悩みは、自分で整理しながら様子を見られることもあれば、一人で抱え込まない方がよいこともあります。何でも一人で解決しようとすると、心にも体にも大きな負担がかかってしまいます。例えば、自分で取り組みやすいこととしては、
- 気持ちや出来事を記録する
- 睡眠や食事など生活リズムを整える
- 仕事内容や負担を書き出して整理する
- 上司へ確認したいことをメモにする
などがあります。
一方で、
- 業務量や責任が極端に重い
- 職場での対応について相談したい
- ハラスメントが疑われる
- 心身の不調が続いている
このような場合は、一人だけで判断しようとせず、周囲へ相談することも大切な選択肢です。相談先は職場だけとは限りません。家族や信頼できる友人に話してみたり、公的な相談窓口を利用したりすることで、自分では気付かなかった視点が見つかることもあります。一人で頑張り続けることだけが、よい選択とは限りません。
今の悩みは、
- 自分で整理できそうなこと
- 職場へ確認した方がよいこと
- 専門家へ相談した方がよいこと
のどれに当てはまるのかを考えてみるだけでも、次の一歩が見えやすくなるでしょう。
眠れない・食べられない・出勤が難しいときは一人で抱えない
転職後は、新しい環境に慣れようと頑張るあまり、自分でも気づかないうちに心や体へ負担がかかることがあります。少し疲れているだけであれば、休息を取ることで回復することも少なくありません。
一方で、
- 眠れない日が続く
- 食欲がなくなってきた
- 朝になると涙が出る
- 出勤前になると強い不安や吐き気がある
- 休日になっても仕事のことが頭から離れず、十分に休めない
このような状態が続いている場合は、一人だけで抱え込まないことも大切です。もう少し頑張れば慣れるかもしれない、そう思って無理を続けてしまう人は少なくありません。ですが、心や体の不調が続いているときは、まず今の状態を少しでも軽くすることを優先してもよいでしょう。
例えば、信頼できる家族や友人へ話してみる、職場の上司や人事へ相談してみる、公的な相談窓口を利用するなど、状況に合わせて頼れる相手を探すことも一つの方法です。もし生活への支障が続いている場合には、医療機関へ相談することも選択肢の一つになります。
大切なのは、転職が成功だったのか失敗だったのかを急いで決めることではありません。まずは今の心や体を守りながら、落ち着いて状況を整理できる環境をつくることが、その先の判断にもつながります。
まとめ
転職後に違和感を覚えると、すぐに失敗だったと結論づけてしまいたくなることがあります。しかし、違和感の背景には、仕事内容や職場環境、期待とのギャップ、心身の疲れなど、さまざまな要因が重なっていることがあります。だからこそ、まずは今起きていることを整理し、自分でできることと、誰かに相談した方がよいことを分けて考えてみましょう。
一つずつ状況を確認していくことで、続ける、休む、働き方を調整するなど、自分に合った選択肢が見えやすくなることがあります。また、眠れない日が続く、食欲が落ちる、仕事や日常生活に大きな支障が出ているなど、心身の不調が続いている場合は、一人で抱え込まず、信頼できる人や相談窓口、医療機関へ相談することも大切です。
焦って結論を出す必要はありません。今の自分の状態を丁寧に整理しながら、無理のない一歩を選んでいきましょう。
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前編では、違和感の原因を整理するための考え方をご紹介しています。あわせて読むことで、今回ご紹介した内容もより実践しやすくなります。
iこころクリニック日本橋編集部
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