仕事のストレスで眠れないとき|転職後・休職前後に確認したい睡眠の変化(前編)

仕事のことを考えると眠れない、夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めてしまう、そんな状態が続くと、不安になってしまいますよね。転職したばかりの環境の変化や、仕事での緊張が続く時期、休職を考え始めた頃や休職中・復職前後など、働き方や生活が変わるタイミングには、眠り方にも変化が現れることがあります。

一方で、眠れない理由は仕事だけとは限りません。生活リズムや体調、ほかの要因が関係している場合もあり、この記事だけで原因や病気を判断することはできません。

この記事では、仕事や生活の変化に合わせて睡眠の状態を整理するポイントをご紹介します。どんな眠り方で困っているのか、日中の生活にどのような影響があるのかを振り返りながら、ご自身の状態を客観的に見つめるきっかけとしてお役立てください。

仕事のストレスで眠りが変わることはあります

仕事では、納期や責任、人間関係、新しい業務への適応など、さまざまな場面で緊張や負担を感じることがあります。こうしたストレスや生活リズムの変化に伴って、眠り方が変わる場合があります。

例えば、

  • 寝床に入ってもなかなか眠れない
  • 夜中に何度も目が覚める
  • 朝早く目が覚め、そのまま眠れない
  • 十分に眠ったつもりでも疲れが取れた感じがしない

といった変化がみられることがあります。

一方で、睡眠の変化には仕事以外の要因が関係していることも少なくありません。生活リズムの乱れや体調の変化、服薬の影響など、さまざまな要因が重なっている場合もあります。

そのため、仕事が原因だから眠れない、と一つの理由だけで判断することは難しく、睡眠の状態や入眠までの日中の様子をあわせて振り返ることが大切です。

原因を決めつけるのではなく、どのような眠りなのか、その変化、影響を与えている行動を整理することが、現在の状態を理解する第一歩になります。

転職後・休職前後に確認したい睡眠の変化

働き方が変わるタイミングでは、睡眠にもさまざまな変化が現れることがあります。ただし、その現れ方は人によって異なります。同じ眠れないという悩みでも、転職後なのか、休職を考えている時期なのか、休職中・復職前後なのかによって、背景や生活の状況はさまざまです。

まずは、ご自身がどのような状況にあるのかを整理しながら、睡眠や日中の様子を振り返ってみましょう。

転職後

転職後は、新しい職場や仕事内容に慣れるまで、想像以上に緊張が続くことがあります。勤務時間や通勤時間が変わったり、新しい人間関係を築いたり、覚えることが増えたりと、生活全体が大きく変化する時期でもあります。
こうした変化に伴い、

  • 夜になっても気持ちが切り替わらず寝つきにくい
  • 朝早く目が覚めてしまう
  • 十分眠ったつもりでも疲れが残る

と感じる方もいます。また、転職前から疲労やストレスを抱えたまま新しい環境へ入ることで、眠りに影響が現れる場合もあります。転職したから眠れなくなったと一つの理由だけで考えるのではなく、転職前後の生活全体の変化も含めて振り返ることが大切です。

休職を考える前

仕事へ向かうことがつらく感じ始める頃には、睡眠の変化とともに、日中の生活へ影響が出てくることがあります。
例えば、

  • 朝起きることがつらい
  • 日中も強い眠気や疲れを感じる
  • 集中しにくく、仕事でミスが増えた
  • 家事や趣味に取り組む気力が湧かない

といった変化に気付く方もいます。このようなときは、休職したほうがいいのだろうかと結論を急ぐのではなく、いつ頃から変化があったのかという推定と、その頃からの眠りの状態と日中の生活への影響を分けて整理してみることが大切です。現在の状況を記録しておくことで、医療機関や職場へ相談するときにも伝えやすくなるでしょう。

休職中・復職前後

休職中は、仕事から離れることで心身を休める時間を確保しやすくなる一方、生活リズムが変わることで睡眠にも変化が現れることがあります。例えば、就寝・起床時刻が不規則になったり、昼寝の時間が長くなったりすると、夜になっても眠気を感じにくくなる場合があります。

また、復職が近づくにつれて、「また朝きちんと起きられるだろうか」「仕事についていけるだろうか」といった不安から、眠りに影響が出る方もいます。休職中や復職前後は、「よく眠れているか」だけではなく、

  • 就寝・起床時刻
  • 日中の活動量
  • 昼寝の時間
  • 気分や体調の変化
  • 通院や服薬の状況

などもあわせて振り返ることで、現在の状態を整理しやすくなります。

睡眠の変化は、その時期の生活や体調など、さまざまな要因が重なって起こることがあります。一つの理由だけで判断せず、今の自分の状態を客観的に見つめるために上記のような記録をとりつづけることが大切です。

「仕事が原因」と決める前に、睡眠の状態を分けてみましょう

眠れないと感じていても、その内容は人によってさまざまです。眠りに関する困りごとを一つにまとめるのではなく、「どのようなことで困っているのか」を分けて考えることで、現在の状態を整理し、落ち着きやすくなります。
例えば、次のような点を振り返ってみましょう。

  • 寝つきにくい
    布団に入ってもなかなか眠れず、気付けば長い時間が過ぎてしまうことがあります。
  • 夜中に何度も目が覚める
    一度眠っても途中で目が覚め、その後なかなか眠れないことがあります。
  • 朝早く目が覚めてしまう
    起きる予定より早く目が覚め、そのまま眠れなくなることがあります。
  • 十分眠ったはずなのに休んだ感じがしない
    睡眠時間は取れていても、ぐっすり眠れたという感覚が得られないことがあります。
  • 朝起きることがつらい
    起床が難しく、仕事や家事の開始が遅れたり、準備に時間がかかったりすることがあります。
  • 日中に眠気や集中しづらさがある
    会議や作業中に眠気を感じたり、集中力が続きにくくなったりすることがあります。

これらはすべての人に当てはまるわけではなく、複数が重なることもあれば、一つだけ気になる場合もあります。眠れないという一言だけでは伝わりにくいことも、困っている場面を具体的に整理することで、自分でも状態を把握しやすくなり、医療機関へ相談する際にも伝えやすくなるでしょう。

3〜7日ほど「睡眠メモ」をつけると伝えやすくなります

睡眠の状態を振り返るときは、数日間の様子を簡単に記録してみる方法があります。細かく書こうとする必要はありません。思い出せる範囲で構いませんので、3〜7日ほどの睡眠の様子をメモしてみましょう。
例えば、次のような内容を書き留めておくと、睡眠の変化を整理しやすくなります。

  • 就寝した時刻と起床した時刻
  • 寝つくまでに時間がかかったと感じたか
  • 夜中に目が覚めた回数や時間帯
  • 昼寝をしたか、その時間
  • カフェインやアルコールを摂ったか
  • 仕事の日か休日か
  • 日中の眠気や疲れ、集中しづらさ
  • 睡眠に関する薬を服用している場合は、その状況

睡眠メモは、診断のためのチェックリストではありません。3日記録できなかったから相談できない、数字だけで状態が決まるというものではなく、ご自身の睡眠を振り返り、医療機関へ相談するときに伝えやすくするための一つの方法です。

無理のない範囲で記録を続けることで、どのような日に眠りにくいのか、日中にどのような影響があるのかといった傾向に気付くきっかけになることがあります。

眠れない状態や日中のつらさが続くときは相談できます

眠れない日が続いたり、日中の眠気や疲れによって仕事や家事に支障を感じたりする場合は、睡眠について医師へ相談することも一つの方法です。
相談の際は、

  • いつ頃から眠りに変化があったか
  • 寝つきや夜中の目覚めなど、どのようなことで困っているか
  • 日中の眠気や集中しづらさなど生活への影響
  • 現在服用している薬がある場合は、その内容

などを伝えることで、現在の状況を把握する手がかりになります。必要な診療や検査、治療については、一人ひとりの状態に応じて医師が判断します。眠れないくらいで相談していいのだろうか、と迷う方もいますが、睡眠の変化が続いて気になる場合は、一人で抱え込まず相談を検討してみることも大切です。

気分が戻っても眠れない方は後編へ

仕事や生活の変化による睡眠の悩みを整理しても、「気分は少し戻ってきたのに、眠りだけが改善しない」と感じる方もいます。このような場合には、うつ病と睡眠の関係や、不眠障害と寝不足の違いなどについて、もう少し詳しく知りたいと思うこともあるでしょう。
後編では、

  • 気分が改善しても不眠が残ることがある理由
  • 「不眠障害」と「寝不足」の違い
  • 睡眠と食行動に関する研究
  • 睡眠について相談を検討したい目安

などを、医学的な情報を交えながら分かりやすくご紹介します。気になる方は、続けて後編もご覧ください。

まとめ

仕事や生活環境が変わる時期には、眠り方にも変化が現れることがあります。ただし、眠れない理由は一つとは限らず、仕事だけが原因とは言い切れません。まずは、寝つきや途中で目が覚めること、朝の目覚め、日中への影響などを分けて整理することで、ご自身の状態を把握しやすくなります。

また、数日間の睡眠メモをつけることは、現在の様子を振り返ったり、医療機関へ相談したりする際にも役立つことがあります。眠れない状態や日中のつらさが続いている場合は、一人で抱え込まず、必要に応じて医師への相談も検討してみてください。

また、気分は少し戻ってきたのに眠れないと感じる方は、後編でうつ病と睡眠の関係について詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

iこころクリニック日本橋編集部

当院の診療内容や精神科・心療内科に関する情報をもとに、患者さまのお役に立つ情報を編集・発信しています。

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