うつ病と不眠|気分は少し戻ったのに眠れないとき(後編)
気分の落ち込みは少し和らいできたのに、夜になるとなかなか眠れない、途中で何度も目が覚める、朝早く目が覚めてしまう。そんな状態が続くと、もう気分は戻ってきたはずなのに、なぜ眠れないのだろうと不安になることがあります。
うつ病では睡眠の問題がみられることがありますが、それは不眠の原因の一つで、気分が改善したあとも眠りの悩みが続く場合があります。そのため、睡眠の変化が必ずしもうつ病によるものとは限らず、この記事だけで原因や病名を判断することはできません。
この記事では、うつ病と睡眠の関係や、気分が改善したあとにもみられる睡眠の変化について整理しながら、医師へ相談するときに役立つポイントを分かりやすくご紹介します。
うつ病では睡眠の問題が起こることがあります
うつ病では、気分の落ち込みだけでなく、睡眠に関する変化がみられることがあります。例えば、寝つきに時間がかかる、夜中に何度も目が覚める、予定より早く目覚めてしまう、十分眠ったつもりでも休んだ感じがしないなど、表れ方は人それぞれです。
また、気分が少し落ち着いてきたあとも、睡眠の悩みだけが残ることがあります。一方で、うつ病以外にも不眠には生活リズムの乱れやストレス、身体の病気、服用中の薬など、さまざまな要因が関係することもあります。
そのため、眠れないからうつ病だと考えるのではなく、睡眠の状態や日中の様子をあわせて整理しながら、必要に応じて医師へ相談することが大切です。
うつ病に伴って起こり得る睡眠の悩み
睡眠の悩みと一口にいっても、その内容はさまざまです。同じ眠れないという状態でも、どのような変化が起きているのかによって、日中への影響や相談するときに伝えたい内容も変わります。ここでは、うつ病でみられることがある代表的な睡眠の変化をご紹介します。
なかなか寝つけない
布団に入ってもなかなか眠れず、気づくと長い時間が過ぎてしまうことがあります。眠ろうと意識するほど頭が冴えてしまったり、仕事や日中の出来事が繰り返し思い浮かんだりして、眠りにつきにくく感じる方もいます。寝つきの悪さが続くと、睡眠時間が短くなり、翌日の集中力や疲労感につながることがあります。
夜中に何度も目が覚める
眠りについても途中で何度も目が覚め、そのたびに再び眠るまで時間がかかることがあります。一度だけではなく複数回目が覚めたり、浅い眠りが続いているように感じたりすると、十分眠ったつもりでも疲れが取れないと感じることがあります。
予定より早く目覚めてしまう
目覚まし時計より何時間も早く目が覚め、その後眠ろうとしても眠れない状態が続くことがあります。早朝に目覚めること自体が必ずしも病気を意味するわけではありませんが、以前にはなかった変化が続き、日中の生活にも影響している場合は、睡眠の状態を記録して相談時に伝えると役立つことがあります。
眠ったはずなのに休んだ感じがしない
十分な時間眠ったように思えても、疲れが取れない、ぐっすり眠れた感じがしないと感じることがあります。睡眠時間だけではなく、眠りの質や途中で目覚めていないかなども、睡眠の状態を振り返る手がかりになります。
朝起きられず、仕事や家事に支障が出る
朝起きることが難しくなり、仕事や学校、家事などの日常生活に影響が出ることがあります。
起きても強い眠気や疲労感が続く場合は、睡眠時間だけでは分からない要因が関係していることもあります。生活への影響が続く場合は、一人で判断せず、医療機関へ相談することも検討しましょう。
気分が改善しても不眠が残ることはありますか
気分の落ち込みが以前より和らいできても、睡眠の悩みだけが続くことがあります。日中は少し動けるようになったのに眠れない、気持ちは前向きになってきたのに、夜になると眠れない。そんな状態に、不安を感じる方も少なくありません。
睡眠と気分の回復は、必ずしも同じペースで進むとは限りません。
そのため、気分は戻ったのに眠れないからおかしいと一人で判断するのではなく、睡眠の状態や生活への影響をメモを取るなど、整理したうえで、長引くようなら必要に応じて医師へ相談することが大切です。
不眠障害と寝不足は同じではありません
睡眠時間が短い状態でも、その理由は人によって異なります。例えば、仕事や家事、育児などで睡眠時間を十分に確保できない寝不足と、眠ろうとしても眠れない状態が続く不眠は、同じではありません。睡眠時間だけではなく、
- 布団に入っても眠れない
- 夜中に何度も目が覚める
- 朝早く目覚め、その後眠れない
- 十分眠ったはずなのに疲れが取れない
といった状態が続き、日中の生活にも影響が出ているかどうかをあわせて確認することが大切です。睡眠時間が短いから、即座に不眠障害と自己判断するのではなく、気になる症状が続く場合は医療機関へ相談しましょう。
寝不足の日に間食や食事量が増えることはありますか
睡眠不足の日には、普段より甘いものや高カロリーな食品を食べたくなると感じる方もいます。睡眠と食行動の関係については研究が進められており、睡眠不足によって食欲や食べ物の選び方に変化がみられる可能性が報告されています。
ただし、このような研究結果だけで、睡眠不足になると必ず食べ過ぎる、睡眠を改善すれば食行動も改善するとは言えません。食生活には生活習慣やストレス、体調など、さまざまな要因が関係します。気になる変化がある場合は、睡眠と食事の両方を振り返るために記録をとることで、自分の生活リズムを整理し、改善のきっかけになることがあります。
食べ方が気になるときは、睡眠と分けて整理しましょう
睡眠の悩みと食事の悩みが同時にあると、どちらが原因なのだろうと考えてしまうことがあります。しかし、それぞれの変化がいつ頃から始まったのか、どのような場面で起こるのかを分けて整理すると、医療機関へ相談するときにも状況を伝えやすくなります。
例えば、
- 睡眠の変化はいつ頃からか
- 食欲や食事量に変化はあるか
- 日中の眠気や集中力はどうか
- 生活にどのような影響が出ているか
などを簡単に記録しておくことも一つの方法です。
医師への相談を検討したい目安
次のような状態が続いている場合は、早めに医療機関へ相談することを検討しましょう。
- 眠れない状態が続いている
- 日中の眠気や疲労感が強く、仕事や家事に支障がある
- 朝起きることが難しく、生活リズムが整わない
- 睡眠の悩みが続き、不安が強くなっている
受診の際には、眠れない時間帯や睡眠時間、途中で目が覚める回数、日中の様子などを伝えると、現在の状態を把握する参考になります。
睡眠と食べ方、それぞれに合った相談先があります
睡眠の悩みが続く場合は、一人で抱え込まず、医療機関へ相談することも選択肢の一つです。また、食事量や食べ方の変化が気になる場合も、自己判断だけで原因を決めつけるのではなく、必要に応じて医師へ相談しながら整理していくことが大切です。
睡眠や食生活の変化にはさまざまな背景が考えられるため、それぞれの状態に合わせた対応を一緒に考えていくことが重要です。
まとめ
気分が改善してきても、睡眠の悩みだけが続くことはあります。一方で、不眠の背景は一つではなく、生活習慣やストレス、身体の状態など、さまざまな要因が関係している場合があります。
眠れないから○○だと決めつけるのではなく、睡眠の状態や日中の様子を整理し、生活への影響が続くときは医療機関へ相談しましょう。睡眠の悩みを適切に整理することが、自分に合った対応を見つける第一歩につながります。
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iこころクリニック日本橋編集部
当院の診療内容や精神科・心療内科に関する情報をもとに、患者さまのお役に立つ情報を編集・発信しています。


