転職後すぐ辞めたいと感じたら|今できる小さな工夫を試してみる(後編)
転職したばかりなのに、もう辞めたいと感じてしまうことは珍しくありません。
思っていた仕事と違った、職場の雰囲気になじめない、毎日気を張り続けて疲れてしまうなど、理由は人それぞれです。入社して間もない時期だからこそ、不安や戸惑いが重なり、この仕事は自分に向いていないのではないか、すぐに辞めたほうがよいのではと考えてしまうこともあるでしょう。
しかし、その気持ちだけで転職の成功・失敗を判断するのは、少し早いかもしれません。新しい環境では、仕事内容だけでなく、人間関係や職場のルール、生活リズムなど、一度に多くの変化へ対応することになります。その影響で、一時的に心や体へ負担がかかりやすくなる人も少なくありません。まずは今の状況を整理し、どの場面で負担が大きくなっているのかを確認しながら、無理なくできそうな工夫を一緒に考えていきましょう。
まずは3日間、働いた時間と回復の様子を並べてみる
転職したばかりの頃は、毎日を乗り切るだけで精一杯になることも少なくありません。帰宅すると何もする気が起きず、自分はこの仕事に向いていないのではないかと不安になる人もいるでしょう。
そんなときは、気持ちだけで判断するのではなく、まず3日間、自分の働き方と回復の様子を振り返ってみることも一つの方法です。
例えば、始業時間や終業時間、休憩を取れたかどうか、忙しかった時間帯などを簡単に書き留めてみます。それとあわせて、帰宅後にどのように過ごしたのか、翌朝は疲れが残っていたのかなども、無理のない範囲で記録してみましょう。長文で書く必要はありません。昼過ぎから忙しかった、帰宅後はそのまま寝てしまった、今日は昨日より少し起きやすかった。その程度の短いメモでも十分です。
この記録は、自分を評価したり反省したりするためのものではありません。今の自分がどのような働き方をしていて、どのように回復できているのかを客観的に見つめるための材料になります。
一日の終わりに、仕事・休憩・回復を短く記録する
すべてをきちんと記録しようとすると、それ自体が負担になってしまうことがあります。転職直後は新しい環境に慣れるだけでもエネルギーを使う時期です。毎日続けられなくても気にする必要はありません。
例えば、次のような項目の中から、書けそうなものだけ残してみてください。
- 始業・終業時間
- 休憩を取れたか
- 忙しかった時間帯
- 帰宅後の過ごし方
- 夜の睡眠の様子
- 翌朝の疲れ具合
毎日きれいに記録することよりも、あとから振り返ったときに、こんな日が続いていたと気付けることのほうが大切です。3日ほど続けるだけでも、火曜日は特に疲れやすい、休憩を取れた日は少し楽だったなど、自分でも気付かなかった傾向が見えてくることがあります。
つらさが強くなる場面を、一つだけ特定する
仕事全体がつらいと感じていても、その気持ちが一日中ずっと続いているとは限りません。朝の通勤だけが苦しい人もいれば、午後になると疲れが一気に出る人、特定の業務になると緊張が強くなる人もいます。まずは仕事全体を問題にするのではなく、どの場面で負担が大きくなっているのかを一つだけ探してみましょう。
一度にすべてを整理しようとすると、かえって頭の中がいっぱいになってしまいます。まずは一つ見つけるだけでも、自分の状態を客観的に見るきっかけになります。この段階では、原因まで考えようとしなくても大丈夫です。どんな場面でつらさが強くなるのかを知ることが、次の一歩につながります。
仕事量・時間帯・進め方のうち、変えられそうな一点を探す
負担が大きくなる場面は、人によってさまざまです。
例えば、
- 朝、仕事へ行く支度を始めると気持ちが重くなる
- 駅へ向かう途中から疲れを感じる
- 電話対応が続くと緊張が高まる
- 人前で話す場面になると体がこわばる
- 昼過ぎから集中力が続かなくなる
- 帰宅後は何もできないほど疲れてしまう
大切なのは、仕事が嫌だとまとめてしまうのではなく、どの時間帯や業務、場面で負担が強くなっているのかを具体的に見つけることです。思い当たることがいくつかあっても、最初は一つだけ選べば十分です。一つに絞ることで、その後の工夫も考えやすくなります。
今の自分にできる小さな試し方を選ぶ
負担が大きくなる場面が見えてくると、何とか変えなければと焦ることもあるでしょう。しかし、転職したばかりの時期は、大きく変えようとするより、小さく調整するほうが続けやすいことがあります。もっと頑張ろう、気持ちを切り替えようと自分を励ますだけでは、疲れが重なっているときにはうまくいかないこともあります。
そんなときは、仕事そのものではなく、働き方や過ごし方を少しだけ変えられないか考えてみることも一つの方法です。無理なくできそうと思える内容で十分です。今は試す余裕がないと感じるなら、無理に始める必要もありません。
一週間だけ試し、合わなければやめてもよい
例えば、次のような工夫なら取り入れやすいかもしれません。
- 昼休みに5分だけ外の空気を吸ってみる
- 集中しやすい時間帯に優先順位の高い仕事を進める
- 通知を確認する時間を決めて何度も画面を見ないようにする
- 帰宅後は家事を詰め込みすぎず、少し休む時間を作る
- 休日は何もしない時間を少しだけ確保する
どれも必ず効果がある方法ではありません。人によって合うものは違いますし、その日の体調や仕事内容によっても変わります。そのため、続けられたかどうかを評価するよりも、自分にはどう感じたかを確かめることが大切です。合わなければ別の方法を試しても構いませんし、今は見送るという選択もあってよいでしょう。働き方を調整する方法は一つではありません。
記録しながら小さく試す方法を見る
→ 認知行動療法の考え方を日常で生かす方法|記録と小さな行動の例(後編)
続けること自体を目標にする必要はありません。試した日、前後の負担、起きた変化を短く残すと、続ける・別案にする・保留するを選びやすくなります。
試した結果を振り返り、次に確認することを選ぶ
小さな工夫を試しても、すぐに大きな変化が出るとは限りません。思ったほど変わらなかったと感じる日があっても、それだけで失敗と考える必要はありません。気持ちが少し楽になった、疲れ方は変わらなかった、続けるのは難しかった。どのような結果でも構いません。
ここで大切なのは、うまくできたかどうかではなく、自分にとって何が負担になり、何が少しでも楽につながるのかを知ることです。必要に応じて別の方法を試したり、今は様子を見ることを選んだりしながら、自分に合う働き方を少しずつ探していきましょう。
生活への支障が続くときは、一人で抱え込まない
入社したばかりだから相談しづらい、もう少し頑張れば慣れるはずと思い、一人で抱え込んでしまう人は少なくありません。
もし、
- 眠れない日が続く
- 食欲がなくなった
- 出勤前になると強い不安や動悸が続く
- 仕事だけでなく日常生活にも支障が出ている
このような状態が続いている場合は、一人で我慢し続ける必要はありません。家族や信頼できる人に話を聞いてもらったり、職場の相談窓口を利用したりするだけでも、気持ちが整理されることがあります。
心身の不調が続く場合には、医療機関へ相談することも選択肢の一つです。相談することは、仕事を辞めると決めることではありません。今の状態を整理し、自分に合った対応を一緒に考えていくための方法でもあります。
まとめ
転職直後は、新しい環境に慣れるだけでも想像以上にエネルギーを使う時期です。そのため、辞めたいと感じることがあっても、すぐに結論を出す必要はありません。
まずは数日間、働き方と回復の様子を振り返り、負担が大きくなっている場面を整理してみましょう。そのうえで、今の自分にできそうな小さな工夫を一つ試し、その結果を見ながら次の一歩を考えていくことが大切です。もし生活への支障が続いている場合は、一人で抱え込まず、周囲の人や専門家へ相談することも選択肢の一つです。
焦って答えを出そうとするのではなく、自分の状態を確かめながら少しずつ進めていくことが、納得できる選択につながるでしょう。
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iこころクリニック日本橋編集部
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