エビリファイLAIとは?双極I型障害の再発・再燃抑制、副作用、治療継続を解説
双極I型障害では、症状が落ち着いている時期でも、再発や再燃への不安を抱えながら治療を続けている方は少なくありません。また、毎日の服薬を負担に感じたり、飲み忘れが続いてしまったりすることもあるでしょう。
※双極Ⅰ型障害は、以前「躁うつ病」と呼ばれていた双極性障害の一つで、日常生活に大きな影響を及ぼす躁状態がみられるタイプです。
エビリファイLAIは、一定の間隔で投与する持続性注射剤です。双極I型障害では、気分エピソードの再発・再燃を抑える目的で検討されることがあります。一方で、すべての方に適しているわけではなく、治療方法は現在の症状や生活状況、副作用の有無などを踏まえて医師が判断します。
この記事では、エビリファイLAIの特徴や期待できること、注意点をわかりやすく解説します。治療を検討する際に、主治医へ相談するための参考としてお役立てください。
エビリファイLAIはどのような薬か
エビリファイLAIは、有効成分であるアリピプラゾールを含む持続性注射剤(LAI:Long Acting Injection)です。通常は4週間に1回、筋肉内へ注射し、一定期間にわたって薬の効果が持続するよう設計されています。
毎日服用する飲み薬とは異なり、定期的な注射で治療を継続するため、服薬方法の選択肢の一つとして検討されることがあります。ただし、投与間隔や治療計画はすべての方で共通ではありません。これまでの治療経過や副作用の有無、生活スタイルや通院状況などを総合的に考慮し、医師が一人ひとりに合わせて判断します。
また、エビリファイLAIには統合失調症と双極I型障害における気分エピソードの再発・再燃抑制という、それぞれ異なる適応(意味:その薬を、どの病気に・どのような治療目的で使用することが国から認められているか)があります。本記事では、主に双極I型障害における治療継続の選択肢としてご紹介します。
参考:PMDA添付文書
双極I型障害で検討される場面
エビリファイLAIは、双極I型障害において、気分エピソードの再発・再燃を抑える維持療法の選択肢として検討されることがあります。症状が落ち着いた状態をできるだけ維持し、安定した生活を続けることを目的として使用される薬です。
参考:PMDA添付文書
一方で、急に現れた躁状態やうつ状態をその場で改善するための薬ではありません。そのため、現在の症状や治療の経過によっては、別の治療が優先される場合もあります。
また、毎日の服薬が負担になっている方や、飲み忘れが気になる方にとっては、持続性注射剤という治療方法が選択肢となることがあります。ただし、注射だからすべての方に適しているわけではなく、通院のしやすさや生活スタイル、これまでの副作用の有無なども含めて総合的に判断することが大切です。
承認時の比較試験では、症状が安定した患者さんを対象に、エビリファイLAIを継続したグループは、プラセボ(有効成分を含まない薬)と比較して再発までの期間が長いという結果が報告されています。ただし、この結果は特定の条件下で行われた試験に基づくものであり、すべての方に同じ効果が期待できることを示すものではありません。また、うつ病エピソードに対して同様の効果を保証するものではないことにも注意が必要です。
主治医へ相談するときのポイント
エビリファイLAIを検討する際は、次のようなことを整理しておくと、診察で相談しやすくなります。
- これまでに再発・再燃したときに困ったこと
- 毎日の服薬で負担に感じていること
- 注射による治療に対する不安や希望
- 仕事や学校など、生活の中で気になっていること
ご自身に合った治療方法は人それぞれ異なります。疑問や不安がある場合は、一人で判断せず、主治医へ相談してみましょう。
飲み薬と比べるときの確認ポイント
エビリファイLAIを検討する際は、「飲み薬より優れているか」という視点ではなく、自分の生活や治療の状況に合っているかを考えることが大切です。
例えば、毎日の服薬を負担に感じている方や、飲み忘れが続いてしまうことに不安を感じている方にとっては、定期的に注射を受けるという治療方法が選択肢の一つになることがあります。一方で、注射に抵抗がある方や、定期的な通院が難しい方もいるため、どちらが適しているかは一人ひとり異なります。
また、これまでに経験した副作用や現在服用している薬、仕事や学校など生活リズムとの両立も、治療方法を選ぶうえで大切なポイントです。薬の種類だけで判断するのではなく、現在の状況や希望を主治医と共有しながら検討していきましょう。
比較するときに整理しておきたいこと
診察前に、次のようなことをまとめておくと相談がスムーズになります。
- 毎日の服薬で困っていることはあるか
- 定期的な通院は続けられそうか
- 注射に対する不安や抵抗感はあるか
- 現在服用している薬や過去の副作用
- 治療に期待していること、心配していること
これらを整理しておくことで、自分に合った治療方法を主治医と一緒に考えやすくなります。
開始から継続までに確認すること
エビリファイLAIは、希望すればすぐに開始できる薬ではありません。これまでアリピプラゾールを使用したことがない方では、まず飲み薬で体に合うかどうか(忍容性)を確認してから、持続性注射剤を検討します。
また、注射を開始した直後は、注射だけで治療を行うのではなく、一定期間は飲み薬を併用しながら移行する場合があります。具体的な方法や期間は、症状やこれまでの治療経過などによって異なるため、医師の判断に基づいて進められます。
治療を安全に継続するためには、現在服用している薬やこれまでに経験した副作用、持病の有無などを事前に伝えておくことも大切です。気になることがあれば、遠慮せず主治医へ相談しましょう。
事前に伝えておきたいこと
エビリファイLAIについて相談するときは、次のような内容をまとめておくと役立ちます。
- 現在服用している薬
- これまでに起こった副作用
- アレルギーや持病の有無
- 妊娠・授乳の可能性(該当する場合)
- 通院や仕事・学校など生活上で気になること
ご自身の状況を共有することで、より適した治療方法を一緒に検討しやすくなります。
副作用と、早めに相談したい変化
エビリファイLAIは持続性注射剤のため、一度投与すると薬をすぐに体外へ取り除くことはできません。そのため、治療を始める前には副作用の経験や現在の体調、服用中の薬などを確認し、投与後も定期的に経過をみながら治療を続けていきます。
副作用の現れ方には個人差がありますが、眠気や体重の変化、血糖値の変化などに注意が必要です。また、ごくまれに、買い物やギャンブルへの衝動が強くなる、食欲を抑えにくくなるなど、これまでの自分とは違う行動の変化がみられることがあります。
こうした変化に気づいた場合は、一人で抱え込まず、できるだけ早めに主治医へ相談しましょう。ご家族など周囲の方が変化に気づくこともあるため、日頃から気になることを共有しておくことも大切です。
気になる変化があったときは
次のような変化がみられた場合は、自己判断で薬を中止したりせず、主治医へ相談してください。
- 強い眠気やふらつきが続く
- 体重や食欲に大きな変化がある
- 買い物やギャンブルなど衝動的な行動が増えた
- ご家族から「いつもと様子が違う」と言われた
症状や副作用への対応は一人ひとり異なります。不安なことがあれば、早めに相談することが大切です。
統合失調症では別の適応として検討されます
エビリファイLAIは、双極I型障害だけでなく、統合失調症にも適応があります。ただし、それぞれの疾患では治療の目的や使用する場面が異なります。また、双極I型障害を対象とした臨床試験の結果を、そのまま統合失調症に当てはめることはできません。
ご自身の診断名や治療の目的がわからない場合は、診察時に主治医へ確認しておくと安心です。現在の状態に合わせて、適切な治療方針が提案されます。
主治医への相談前に整理しておくこと
エビリファイLAIが自分に合っているかどうかは、記事だけで判断できるものではありません。診察では、これまでの治療経過や現在困っていることを共有することで、より自分に合った治療方法を検討しやすくなります。
例えば、次のようなことを整理しておくと、相談がスムーズになります。
- 再発や再燃したときに困ったこと
- 毎日の服薬で負担に感じていること
- これまでに経験した副作用
- 現在服用している薬
- 通院や仕事、家庭生活で気になっていること
- 治療に期待していることや不安に感じていること
治療方法は一人ひとり異なります。疑問や不安があれば遠慮せず主治医へ相談し、ご自身に合った方法を一緒に考えていきましょう。
生活上の困りごとも整理したいときに
薬による治療だけでなく、生活リズムや考え方の整理についても相談したいと感じることがあるかもしれません。
そのような場合は、認知行動療法(CBT)の基本的な考え方を紹介した記事も参考になります。認知行動療法は、日常生活で感じる悩みやストレスとの向き合い方を整理する方法の一つです。
なお、認知行動療法はエビリファイLAIの代わりとなる治療ではありません。薬に関する判断や治療方針については、現在の状態を診ている主治医と相談しながら決めることが大切です。
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iこころクリニック日本橋編集部
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