大人のADHDはなぜ起こる?主な原因とは
仕事でのケアレスミスや忘れ物、集中しづらさが気になり、「もしかしてADHDなのでは」と感じる方もいるかもしれません。特に、転職や異動、ライフスタイルの変化をきっかけに困りごとが目立つようになると、「ストレスが原因でADHDになったのでは」と不安になることもあるでしょう。
しかし、大人になって気づいたからといって、ストレスによってADHDが新たに発症したとは判断できません。この記事では、大人のADHDに関係すると考えられている主な要因と、環境の変化によって困りごとが目立つ場合について、それぞれ分けて解説します。
大人のADHDの主な要因
ADHD(注意欠如・多動症)は、神経発達症の一つとされており、特性は子どもの頃からみられると考えられています。大人になって初めて気づくケースもありますが、それは仕事や家庭など、求められる役割が増えたことで特性が目立つようになった可能性があります。
現在の研究では、ADHDの原因を一つだけで説明することはできないと考えられています。脳の働きや遺伝的な要因など、さまざまな要素が関係するとされており、一人ひとり背景は異なります。
脳機能に関する特徴
ADHDについては、脳の働きに関する研究が進められています。注意を向けることや行動をコントロールすること、計画を立てて実行することなどに関わる脳の機能が、特性として影響している可能性があると考えられています。
ただし、特定の神経伝達物質が不足していることだけが原因といったように、単純に説明できるものではありません。現在もさまざまな研究が続けられており、複数の要因が関係すると考えられています。
遺伝的な要因
ADHDには、遺伝的な要因が関係している可能性があると考えられています。そのため、ご家族の中に似たような特性を持つ方がいる場合もあります。
一方で、家族にADHDの方がいるからといって、必ず同じ特性が現れるわけではありません。また、家族歴だけでADHDかどうかを判断することもできません。気になる症状がある場合は、これまでの経過や生活への影響も含めて確認することが大切です。
親の育て方や努力不足だけが原因ではありません
親の育て方が悪かったから、努力が足りないから、といった考え方だけで、ADHDの原因を説明することはできません。また、仕事のストレスや環境の変化だけで、大人になってからADHDが新たに発症するというものでもありません。
困りごとがある場合は、自分や周囲を責めるのではなく、いつ頃から続いているのか、どのような場面で困ることが多いのかといった経過を整理しながら考えていくことが大切です。
環境の変化で困りごとが目立つことがあります
ADHDの特性があっても、子どもの頃や学生時代には大きな困りごとを感じずに過ごしてきた方もいます。しかし、就職や転職、昇進、結婚や子育てなど、生活環境が変わることで求められる役割が増えると、それまで工夫しながら対応できていた特性が目立つようになることがあります。
例えば、仕事量が増えて優先順位をつけることが難しくなったり、複数の業務を同時に進める場面でミスが増えたりすることがあります。また、生活リズムの変化によって、時間管理やスケジュール調整が以前より負担に感じられることもあります。
ただし、このような環境の変化がADHDを新たに引き起こすわけではありません。もともとの特性と環境が重なることで、困りごとが表面化しやすくなる場合があります。
環境変化後に集中困難やミスが増えたとき
転職や異動、家庭環境の変化などをきっかけに、集中しづらさやケアレスミスが増えたと感じることがあります。しかし、その変化だけでADHDと判断することはできません。
大切なのは、困りごとが以前から続いていたものなのか、それとも最近の環境変化をきっかけに目立つようになったものなのかを整理することです。経過を振り返ることで、相談の際にも状況を伝えやすくなります。
以前からの特性と最近の変化を分けてみる
困りごとを整理するときは、次のような視点で振り返ってみると役立ちます。
- 子どもの頃から似たような困りごとがあったか
- 学校や仕事、家庭など複数の場面でみられるか
- 環境が変わる前と後で、どのような変化があったか
これらを整理しておくことで、医師へ相談する際にも経過を伝えやすくなります。自己判断のためではなく、現在の状況を客観的に整理する材料として活用しましょう。
気分・睡眠・身体面の変化も別に整理する
集中しにくさやミスだけでなく、気分の落ち込みや不安、不眠、疲れやすさなどの変化が続いている場合は、それらも分けて整理することが大切です。特に、環境の変化をきっかけに心身の不調や生活への支障を感じている場合は、その経過を振り返ることで相談につながることがあります。
環境の変化による心身や生活への影響について整理したい方は、適応障害の甘え?ずるいと自分を責めるあなたへの記事も参考になります。
症状だけで病名を決める必要はありません
集中しづらさやケアレスミス、忘れ物の多さなどは、ADHDの特性としてみられることがあります。しかし、これらの症状だけでADHDと判断することはできません。
また、環境の変化によるストレスや心身の不調によって、一時的に集中力が低下したり、ミスが増えたりすることもあります。症状だけで病名を決めつけるのではなく、困りごとがいつ頃から続いているのか、どのような場面でみられるのか、生活にどの程度影響しているのかを総合的に確認することが大切です。仕事や日常生活に支障が続いている場合や、自分なりに工夫しても改善しない場合は、一人で抱え込まず相談することも選択肢の一つです。
対面での受診が難しい方は、利用条件をご確認のうえ、オンライン診療についてもご検討ください。
まとめ
大人のADHDは、仕事やストレスが原因で後から発症するものではなく、子どもの頃から続く特性をもとに考えられる神経発達症です。一方で、就職や転職、異動など環境が変化することで、それまで目立たなかった困りごとが表面化することがあります。集中しづらさやミスが増えたと感じたときは、原因を一つに決めつけるのではなく、以前からの経過と最近の変化を分けて整理することが大切です。
困りごとが続いている場合や、仕事・学業・家庭生活に支障を感じている場合は、早めに専門家へ相談することで、ご自身に合った対応方法を見つけられることがあります。
気になる症状がある方へ
iこころクリニック日本橋では、現在のお困りごとやこれまでの経過を丁寧にうかがい、必要に応じて心理検査なども活用しながら総合的に診察を行っています。ADHDによる特性なのか、それとも別の要因が関係しているのかを、ご自身だけで判断することは簡単ではありません。気になる症状や生活への支障が続いている場合は、お気軽にご相談ください。
気になる症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
iこころクリニック日本橋編集部
当院の診療内容や精神科・心療内科に関する情報をもとに、患者さまのお役に立つ情報を編集・発信しています。


